スキンヘッド
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スキンヘッド (Skinhead) とは、日本においては頭髪を全て剃り上げたスタイル及びその「頭」を意味し、英語圏やヨーロッパでは頭髪を剃りあげたスタイルだけではなく、意図的に(多くは、反社会的な意図から)髪を剃り上げた「人物」を意味する。
単に略してスキンとも。また、(一部)毛がない(non)ことからノンケ(=Non毛)とも呼ばれる。
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スキンヘッドにすることに意味がある例
- 俗世からの離脱
- 仏教の宗派によってはスキンヘッドが一般的なスタイルとされているために、坊主頭(ぼうずあたま)と呼ばれることも多い。仏教では剃髪することで、俗界との縁を断つとの意味合いを持たせている。
- 刑罰
- 頭を剃ることは刑罰の一種としても使われており、17世紀のフランスでは売春婦は頭を剃られた上で、追放された。また古代中国ではこの刑罰を髠刑(こんけい、髠は「髪の友を九に変えたもの」)と呼んだ。
- 私刑
- 丸坊主にされるのは屈辱であり、特に「女性は髪が長くあるべきだ」という価値観がある地域で丸坊主にされるのは、女性とってより強い痛みになる。このため、暴力や私刑の一環として頭を剃られることがある。第二次世界大戦のドイツの占領から解放されたフランスではドイツ軍相手の売春婦が髪を剃られたという事例がある。自主的に頭を剃ることで反省の意を示す場合がある。
- 連帯感・規律
- 軍隊や警察、学校、体育会系部活動(主に野球部)などの組織において、連帯感を高めたり、規律として構成員に強制する場合がある。軍隊組織、警察組織、野球部、武道(柔道、剣道他)部などにおいて採用される場合はヘルメットなどの装備品を着用する事情から、すなわち衛生上の理由による部分もある。これらの組織においてはしばしば寮において集団生活をし、入浴が自由に行えないなどの生活条件が存在するため、共用の装備品から皮膚病などの病気が蔓延するのを防止する必要があったためである。学校における強制は1980年代には大きな社会問題となった。
- 治療・医療
- 治療薬塗布や外科手術や頭部に患部を持つ怪我や病気の症状への治療上の必要性から、他の患部同様頭部を剃毛し、それを治療中継続維持する場合も多い。頭部の皮膚炎、汗疹等治療時に治療薬塗布する場合にも実施される場合もある。また、脱毛症の解決法の一つでもある。
- 髪フェティシズム
- 江戸時代には熊野比丘尼など、尼姿で春を売った遊女がいたように、髪を切る・切られる女性を見て性的興奮を覚える者にとって、スキンヘッドはフェティシズムの対象となる。現代でもこのような者向けに女性の断髪の課程を収録したビデオが販売されている。
- 神事
- インドには老若男女問わず、信者の髪を剃り落とすというヒンドゥー教の寺院がある。剃り落とされた髪は主にエクステンションの材料になる。
- 反社会的な姿勢
- 黒人運動や反体制の象徴であったが(SHARP、RASH、ARAといった団体がこれらを継承させている)、異民族に暴力行為を働くネオナチにスキンヘッド(+野戦服の上着にジーパン姿、靴は軍用半長靴)が多いため、ネオナチのシンボルとされている。こうした若者集団を「スキンヘッド(skinhead)」(複数形でスキンヘッズ skinheads)と呼ぶ。
- 日本語のスキンヘッドは、「髪のない"頭"」というヘアスタイルを示すが、英語の skinhead は頭自体を示さず、「意図的に髪をゼロにした"人"」と、人物(およびその思想)を示すことになる。
ファッションとしてのスキンヘッド
日本語としての「スキンヘッド」に対応する英語は、「シェイブドヘッド(en:shaved head)」、「シェイブンヘッド(shaven head)」(剃り上げた頭)または「ボールドヘッド(bald head)」(はげ頭)である。シェイブドヘッド・シェイブンヘッドは、髪を剃るという作業を施した頭を指し、少し髪がのびてきてもよい。ボールドヘッドは、基本的に自然と髪が抜けたために髪が無い頭を指すが、完全に抜け切らなくても用いられる。
「スキンヘッド」という言葉には、反社会的思想の表現の意味合いがあるため、反社会性のない、単なるファッションとして髪をゼロにしている場合は、シェイブドヘッド・シェイブンヘッドを用いる。アジア人が剃った場合は毛根により剃り跡が青く見えるが、白人や黒人は、肌の色と髪の色が近いことも多く、見た目だけでは剃ったかどうか分かりづらいため、ボールドヘッドの方がより広い意味で用いられている。
なお、日本語の「私はスキンヘッドです」を英語にすると、"I am bald(―headed)."または、"I am a baldhead" になる。"I am a skinhead." と言うと反社会的集団の構成員であると言っているのと同じである。
関連項目
外部リンク