紅茶キノコ
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紅茶キノコ(こうちゃきのこ、露: Чайный гриб Kombucha)はモンゴル原産でシベリア[1]で伝統的に飲まれている発酵飲料。紅茶、もしくは緑茶に砂糖を加え、そこに培地で栽培されたキノコにも見えるゲル状の塊を12日から14日ほど漬け込む事で発酵させる。
乳酸菌の一種であるラクトバチルス・アシドフィルス、消化酵素であるブロメリン、及びパパインを多く含み消化器官全域にわたって毒素を中和し免疫機能を高めると同時にビタミンB群の生産活動も確認されている。
一般に店頭で売られている紅茶キノコは完全に発酵されていない状態が多く、自宅で自ら発酵し作らない限り乳酸菌と消化酵素の効能は期待できないとされる。
日本では昭和40年代末から50年代初頭にかけて健康食品としてブームとなり流行した。家庭で栽培できたことから株分けにより口コミ的にも広まったが、ブームは『紅茶キノコ健康法』[2]の発行によるところが大きい。
欧米ではKombuchaと呼び、健康飲料として売られている。20世紀初頭に昆布茶と混同されたらしい。マンゴー味やストロベリー味といった、欧米向けに加工されているものもある。
紅茶キノコの「きのこ」
実際は産膜性酢酸菌のコロニーが形成したセルロースゲルであり、真のキノコのような真菌の子実体ではない。酵母のZygosaccharomyces sp.と酢酸菌のアセトバクター・キシリナム Acetobacter xylinum が主菌相であったことが報告されている[3]。
バイオセルロースとして、研究開発も進んでいる。
関連項目
参考文献
- ^ 紅茶きのこについて(第1報)-紅茶きのこの生育及び糖・酸・ビタミンCについて-Tea Fungus(1)伊藤輝子、鈴木和子、大石いと美 聖徳大学紀要8 pp.129-138
- ^ 中満須磨子 『紅茶キノコ健康法』 地産出版、1974年(昭和49年)。
- ^ Microbiology and fermentation balance in a kombucha beverage obtained from a tea fungus fermentation. SIEVERS M, LANINI C, WEBER A, SCHULER-SCHMID U, TEUBER M(ETH-Zuerich, Zuerich, CHE) W0168A System, Appl Microbiol (DEU) VOL.18,NO.4, PAGE.590-594 (1996)