フッ化水素酸
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フッ化水素酸 | |
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別称 | フッ酸 |
識別情報 | |
CAS登録番号 | |
RTECS番号 | MW7875000 |
特性 | |
化学式 | HF |
外観 | 無色溶液 |
密度 | 1.15 g/mL (48%溶液) |
酸解離定数 pKa | 3.15 (in 水) |
危険性 | |
主な危険性 | 毒性が非常に高い |
特記なき場合、データは常温(25 ℃)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
フッ化水素酸(フッかすいそさん、Hydrofluoric acid)は、フッ化水素の水溶液である。フッ化水素酸はフッ化水素と共に多くの薬品、重合体(例:テフロン)およびフッ素を含むほとんどの合成繊維の前駆体である。
濃フッ化水素酸は一般にガラス(SiO2)と反応して溶かすことがよく知られている。
ガラスを腐食する性質のため、フッ化水素酸はポリエチレンまたはテフロン容器に入れて保存される。また、フッ化水素酸は多くの金属も腐食する。特に硝酸との混合酸は酸に対し耐食性の高いタンタルなども溶解する。
通常は47~48% (d=1.15g cm−3, 27.6mol dm−3)程度の水溶液として市販され、医薬用外毒物の指定を受ける。
酸性
フッ化水素酸は水溶液中では他の酸と同じように解離する。他のハロゲン化水素酸とは異なり希薄水溶液中では弱酸となる。
- HF(aq) + H2O(l) H3O+(aq) + F−(aq), pKa=3.17
−12.55 kJ mol−1 | 18.03 kJ mol−1 | −102.5 J mol−1K−1 |
HF分子が接近したとき酸性度は次の平衡のため劇的に増加する。このためフッ化水素酸は通常の弱酸とは異なり、0.1mol dm−3程度以上の濃度になると高濃度となっても電離度があまり減少しない。
- 2HF(aq) H+(aq) + FHF−(aq)
- HF(aq) + F−(aq) FHF−(aq), K=5.1
FHF−アニオンは、水素−フッ素間の強力な水素結合によって安定化される。このイオンは純液体フッ化水素のみならず、水溶液中でも高濃度であれば生成する。
参考文献
- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982)
関連項目